前島研究室5周年にあたって
2009年4月1日付けで着任し、8月10日、埼玉県和光市の理化学研究所から引っ越してきましたので、今月(2014年8月)で、国立遺伝研・前島研究室開設5周年を迎えました。
私たちは一貫して、「長いDNAがどのように細胞内に収納されているのか?」について取り組んできました。そして、私たちは、細胞核や分裂期染色体の中には教科書に載っているような規則的な30nmクロマチン線維が存在せず、11nmのヌクレオソーム線維が不規則に折り畳まれていることを明らかにしました。このような不規則な収納はヌクレオソームに自由度を与えます。実際、一分子ヌクレオソームイメージング解析により、個々のヌクレオソームがダイナミックに揺らぐ様子を示すことができました。今後は、この研究を発展的に継続すると共に、ゲノムDNAに貯えられた遺伝情報がどのように検索されるのか?を追求していきたいと思っています。
この5年間、国立遺伝研が与えてくれた充実した環境と、研究室に参加してくれた素晴らしいメンバーに恵まれ、本当に幸せな時間を過ごさせていただきました。感謝の気持ちでいっぱいで
す。振り返ると、あっという間の5年間だったような気がします。これからも、自分に与えられた状況に感謝する気持ちを忘れず、研究を楽しむ心を保ち、生命の本質に迫るDNA研究をおこなっていきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2014年8月22日 前島 一博